家づくりの知識

マンション購入「中古×リフォーム」と「新築」どちらが良い?

- 新築神話から“中古リフォーム”時代へ -

「マンションを買うなら新築が安心」と思う方は多いでしょう。
しかし近年は、中古マンションを購入して自分好みにリフォームする“中古×リフォーム”というスタイルが急速に広まっています。

背景には、新築マンションの価格高騰と供給不足があります。都心部では、立地・間取り・価格のすべてを満たす物件探しが至難の業です。
一方で中古市場には、立地の良い築20〜30年の物件も多く、リフォームによって新築同様またはそれ以上の住み心地へ再生できるため、新築に代わる選択肢として注目を集めています。

リフォームの大きな魅力は「自分に合った住まいをつくれること」。
新築よりも費用を抑えられるケースが多く、浮いた予算で設備や内装にこだわり、自分好みの空間にできます。
「中古×リフォーム」では建物性能や共用部の状態確認が必要ですが、人気エリアで“自分らしい住まい”を手に入れたい方には魅力的な選択肢です。

まずは全体像を比較

中古×リフォーム新築
総額新築より安くなる傾向高くなりがち
間取り・設備構造制約はあるが自由度が高いオプションはあるが選択肢は限定的
入居までの期間準備と工期で約3か月未完成なら1年以上もあり
物件数豊富(駅近・人気エリアも含む)限られる
住宅性能最新基準にできない場合がある断熱・耐震など最新基準
手間物件探し+リフォーム検討が必要物件探しとオプション選び中心
共用部経年劣化あり(管理状況による)新品で最新仕様

「新築」と「中古×リフォーム」はいずれも住宅ローンの利用が可能で、減税や補助制度を使える場合があります。

新築派?中古×リフォーム派?向いている人の特徴

新築マンションがおすすめの方

1.最新の性能を重視する方

新築は最新設備と高い安心感が魅力。耐震・断熱・防音・セキュリティなど最新基準に対応し、共用部もオートロックや宅配ボックス、EV充電などが整う物件が多いです。

2.手間なく住み始めたい方

入居までのプロセスを簡素化したい、入居後しばらく修繕の心配をしたくない人に適しています。完成済みなら即入居可の物件も。メーカー保証やアフターサービスが充実している点も安心材料です。

3.すべてが新品にこだわりたい方

「誰も住んでいない」「共用部も新しい」ことに価値を感じる方には満足度の高い選択です。

中古×リフォームがおすすめの方

1.立地や利便性を優先したい方

希望エリアの選択肢が広く、駅近・都心でも選べる物件が見つかりやすいのが強み。構造がしっかりしていれば、リフォームで快適な空間に再生できます。

2.コストを抑えたい方

一般的に総額を抑えやすく、浮いたコストを広さや仕様のグレードアップに回せます。

3.自分好みの住まいにしたい方

間取り変更や内装・照明の自由度が高く、「既製の新築より自分らしい空間」を求める方に向いています。

リフォーム前提で中古マンションを購入するときのチェックポイント

1.室内と構造・配管の確認

リフォーム設計の自由度や工事費に影響するのが「専有部分」。
内装の劣化状態だけでなく、間取り変更や設備移設を検討する場合は、建物構造(壁式構造で撤去不可の壁がないか)や配管経路・勾配の確認が不可欠です。
見た目だけで判断せず、図面で“見えない部分”まで確認することが成功の鍵です。

2.管理規約の確認

スムーズに進めるため、管理規約・使用細則を事前に把握しましょう。
床材の遮音等級(例:LL-45以上)や工事時間帯、搬入経路などが細かく定められています。
水回りの移設やサッシ交換など共用部分に関わる工事は制限される場合があるため、購入前に「どこまでリフォームできるか」を明確化しておくと安心です。

3.建物・共用部の確認

中古では、建物全体の管理状態が将来の資産価値を左右します。
現地で清掃状況や共用部の劣化具合を自分の目で確認し、管理会社へのヒアリングや重要事項説明書で大規模修繕の実施履歴・予定をチェック。
計画的に運営されている管理組合のマンションは、長期的にも安心です。

まとめ:どちらが“良い”ではなく、どちらが“合う”か

中古×リフォーム:立地・コスト・設計自由度を重視し、“自分らしさ”を追求したい方向け。

新築:最新性能・保証・手間の少なさを重視し、“安心感”と“スムーズな入居”を優先したい方向け。

最終的には、「暮らしの優先順位」を軸に選ぶのが正解です。
迷ったら、希望エリア・予算・入居時期・こだわり(広さ/仕様/デザイン)をリスト化し、両者で試算・比較してみましょう。